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KUTANism 2021|九谷焼の芸術祭クタニズム2021
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#03 絵付けを生かすかたち 受け継がれる九谷のろくろと型打ち KUTANism全体監修・秋元雄史が自ら現場に足を運び、ナビゲーターと対談をするなかで、九谷焼を再発見していく連載シリーズ「秋元雄史がゆく、九谷焼の物語」。2021年度は“技法”と“伝承”をキーワードとして、九谷の魅力を、系譜を紐解きながら探っていきます。

華やかな絵付けに注目が集まることの多い九谷焼ですが、絵が活きるのは、それを支える素地の美しい造形があってこそ。第三話は九谷焼の“技法”に注目し、成形の基本である「ろくろ形成」のスペシャリストとして三代続く「アズマ製陶所」と、全国的にも数少なくなっている「型打ち形成」の担い手・宮腰徳二さんを訪ねます。九谷焼の花形である絵付けにバトンを渡す重要な役割を果たしている二軒への取材を通じて、職人技の奥深さを知ります。

時間をかけて技術を身につけ、生きた素地をつくる。

石川県立九谷焼技術研修所を卒業後、アズマ製陶所に入った金丸涼花さん。取材時は鉢の制作に励んでいた。

秋元:
こんにちは。東製陶所に入って、どれくらい経つのでしょうか?
金丸:
こんにちは!私は九谷焼技術研修所を出たのですが、卒業後にすぐここに入り一年になります。
秋元:
何か目標や夢があってアズマ製陶所に入られたのでしょうか?
金丸:
やっぱり素地を作る人がかなり減っていて、そんななかで自分の作品を作るのも大事やなって思うんですけど、生地を提供できるような職人さんも絶対おったほうがいいなと思って。もともと作家志望やったんですけど、職人になるためにここへ来ました。
秋元:
ろくろの職人ってどんどん減っていますもんね。ここに来てから学んだことは何でしょうか。
金丸:
東先生から、よく「生きた素地にしなさい」と言われます。それは本当に大切だと思っています。もちろん時間をかければ薄くて軽いものは作れるんですけど、やっぱり仕事なので。そこが難しいと思いますね。

剛太郎さんの息子、万寿夫さん。現在アズマ製陶所の代表を務める。

秋元:
ろくろを引いて何年くらいになられるのですか?
万寿夫:
20歳の頃に始めて25年くらいになります。子供の頃からろくろを触っとったから、自然な成り行きで。
秋元:
お父さんから習われたということですね。親子で仕事するというのは、難しいものなのでしょうか?
万寿夫:
そうですね、やっぱりいやでしたね笑。
秋元:
自分の思うようにろくろを引けるようになるには、どれくらいかかりましたか?
万寿夫:
最近ですかね。20年以上続けてきて、ようやくです。技術云々よりは気持ちの問題ですね。気持ちに技術が付いてくる感じはあります。なんというか雑念がなくなって、平常心でろくろと向き合えるようになりましたね。

ろくろを引くときは「平常心を心掛けている」という。

ろくろ形成に欠かせない道具の「だんご」と「へら」は手作り。

東:
これは形を整えるために使う道具やね。大まかな形を作る「だんご」と最終的な仕上げで使う「へら」があって、作りたい形によって色んなもんがある。

香炉だけで100種類以上はくだらないという。

秋元:
すごく心地よい空間ですね。仕事をする上で難しさはありますか?
東:
やっぱり一回一回仕上がるものが違うよね。そこが難しさでもある。ちょっと横着なことをするとモロに焼き上がりに出てくるからなあ。とにかく長いこと続けていたら、初めはものすごく下手でもだんだん力が抜けて楽しくなる。その時期がいつ来るかは分からんけど。ただ最終的には、こうやって続けてみて楽しいと思うね。
東:
だからな、なんでも覚えようと思ったら、やっぱり我慢や。嫌とか好きとか言っていられないでしょ。やっぱり会社のためにと考えたときに、自分の代になってはじめて真剣になるというかね。
秋元:
先代から家業を継いだのは何歳の頃だったのでしょうか?
東:
私が35歳ほどのときに自分のやり方をしたくて、強制的な感じやけど変わってもらって。そのことについて親はとやかく言わなかった。
東:
子どもの頃から父のそばで見て、こうしたらいいんじゃないかとか分かるでしょ。だから譲ってもらった。自分なりのやり方で色んなことをやらせてもらって。職人としての経験を積んでいたから、これだけ腕についていたら、もう逃げていかんわね。
秋元:
代替わりや東さんの経営について、お父さんから口を出されることは無かったんですか?
東:
なかったですね。
秋元:
やっぱり、本当に職人さんだったんだなあ。
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職人として技術を守り、魅力を伝えることに使命