MENU

イベントレポート「陶芸家・山田義明さんから教わる絵付けワークショップ」 2021年9月23日、KUTANism関連イベント「絵付けワークショップ」が開催されました。陶芸家・山田義明さんが講師を務め、参加者たちは「素地(6 寸平皿)への色絵付け」に挑戦しました。下絵を転写して骨描きをし、その上から色絵を施すという充実のプログラム。当日の様子をダイジェストでお届けします。

講師の山田義明さんはすずめやカワセミ、四季の草花など高いデッサン力に裏打ちされた花鳥風月を得意とし、独自の色研究からなる九谷五彩の枠に捉われない色彩表現で、古典的な「色絵」を描き続けています。今回は山田さんが事前に用意してくれたカニや南天、ツワブキなどの図案の下描きを使ってワークショップを行います。

講師の山田義明先生。分かりやすく丁寧に教えてくれました。

はじめにゼラチン質の膠(にかわ)で皿を拭き、下描きや絵の具が載りやすい状態にします。続いて型紙の下描きを転写します。しっかりと下絵がうつるように上から押さえつけることがポイントです。

余分なカイロ灰は筆で軽く払って落とします。

山田先生が使う赤茶色の呉須。

下描きに用いられているカイロ灰は焼成すると消える特性があるので、転写した上から呉須(ごす)で骨描きをしていきます。一般的に骨描きに使用する「焼き呉須」は強い黒色をしているのですが、山田先生の呉須は茶色をしています。これは「黒茶」というもともとある茶色がかった呉須に、さらに弁柄を入れ赤味を増しているそうです。山田先生の作品に共通する自然で写実的な表現は、この赤茶色の呉須を使うことで輪郭線の強さを和らげていることも一役買っているのです。
骨描きには細い筆を使います。呉須は乾きやすいので、こまめに絵の具をつけながら転写をなぞっていきます。上手に下絵が写らなかったところは、お手本を見ながら描いていきます。苦戦する参加者に、山田さんは「もしも失敗しても修正することがあるので大丈夫ですよ」と声をかけていました。
いよいよ色絵の段階です。絵の具が薄いと綺麗に発色しないので、筆にたっぷりと上絵の具をつけて厚めに塗っていきます。「水分の加減が難しいですね。グラデーションがうまくできなくて、どうしてもべっとりしてしまいます」と言う参加者に、山田さんは「塗るというよりも、絵の具を盛っていく感覚でやってみてください」とアドバイス。
上絵の具を塗り終わったらドライヤーで乾かし、高台に名前を書いて終了です。参加した女性は「もともと九谷焼に興味はありましたが、実際に体験してみるのは初めてでした。焼き上がったときに色が変わるのが面白いですね」と話していました。
最後に山田さんから参加者たちへ、個展の図録とポストカードがお土産に渡されました。